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明日は決戦の日。
長かった戦いも、これで終わるのだ。
「眠れませんか?」
隣のベッドで寝ていた、連が心配そうに俺の顔を覗きこんだ。
真っ暗では眠れない俺は、就寝灯をつけて寝ている。
小さな明かりに照らされた連の表情は、なんだか寂しげだった。
「明日に備えて、早く寝た方がいいですよ」
「分かってるよ、そんなこと」
心配されることは嬉しかった。
でも、もっと心配するのは、連――お前自身のことなんじゃないのか?
俺のしていることと言えば。
いつも、連の足を引っ張ることだけだった。
俺のミスをかばって、連が大怪我をしたこともある。
そんな時でも、連は、いつもの笑顔を絶やさず笑っていたけれど……。
俺は、そんな連を見ているとせつなかった。
いつも穏やかな雰囲気で、何事もあせらず、怒らないでいるけれど、それは本当に連の本音なんだろうか?
そのやさしさに、その暖かさに本当は裏があるんじゃないかと、俺はいつもおびえていた。
本当は、俺のことを足手まといの、役立たずだと思っているのではないのか。
その答えは。
最後の敵と戦う前でも、俺は連に聞けない。
そんなに聞くことにためらってしまう、自分が情けなかった。
聞いても、きっと連はそつのない返答をするだろうし、そんなことで俺を嫌ったりはしないだろう。
でも、連の本音は一生聞けない……。
一番近くにいる連が、一番遠い……。
「一樹、大丈夫ですよ。私がついていますから」
長めの前髪を手で払いのけながら、連が小声でささやいた。
「あんまり遅くまで起きていると、お姉さんにまで心配させてしまいますよ」
忘れていた。
姉の千里にも、明日が重要な日になるのだからといって、早めに部屋に戻ったのだった。
夕食もあまりのどを通らなかった。
心配そうな、千里の顔。
どうして、俺は、周りの人間に心配ばかりかけるんだろうな――。
両親はとっくの昔に死んだ。
残された財産で、ひっそりと姉と俺は暮らしている。
連は、なりゆきで一緒に暮らすことになったのだけど。
本当に、俺は連のことを何も知らない。
ただ、あの敵と――夜に出没する人間の天敵と戦う能力を持った人間と言うことだけしか知らない。
「明日、勝ったら」
俺は、俺は……。
「連のこと、もっと教えてほしい」
連は、驚いたようだった。
でも、すぐに元の穏やかな表情に戻り、口の端をほんの少しあげて微笑んだ。
「いいですよ、無事帰ってこれたら」
連はそういうと自分のベッドに戻っていった。
今、なんて言った?
無事に戻ってこれたら?
それは、もしかして――死ぬかもしれないってこと?
聞き返したかった。
でも、しばらくして連の寝息が聞こえてきて……。
俺は結局、何も聞くことはできなかった。